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中国語の原書300冊読破を目指して、ただいま多読実践中!私が読んだ原書を紹介します。
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不思議な本でした。

読み終わってから1年経つにもかかわらず、小説の各シーンがまるで実際に目の当たりにしたように鮮やかに残っています。特に主人公がマッサージ店につれていかれ、足を洗ってもらっているシーンでは、桶から出るゆげでもやがかった部屋の様子まで、鮮明に頭に浮かんできました。

農村出身の貧しい主人公は、ある日ホテルへ仕事の面接に行った際、記者と間違えられ、レセプションルームに招かれます。そこで目にした美食の数々は彼がこれまで決して見たこともまして口にしたこともない豪華な食事でした。それ以来彼は、記者を偽って、ホテルで開催される記者会見上へ侵入し、美食と交通費を受け取ることで生計を立てるようになります。

偽記者だった彼は、自分を記者だと信じ、記事にしてほしいと訴えるさまざまな恵まれない人たちの遭遇に同情し、正義感をかきたてられ、本当に記事を書くようになります。
また同様に彼を記者であると疑わず、彼を高く評価する社会的栄誉のある画家との交流も始まります。

一方、教養のない自分が記事を書く難しさを誰にも言えず、また助けを訴えてくる人に応えられないことに主人公はやるせなさを感じるようになります。


この本は物語の背景に、中国語の貧富の差や、売春などの社会問題も提起しています。


ベストセラーになり何十万部も売れる本は、とまらない面白さがつきものですが、読後、またたくまに感動も消え去ってしまうことが往々にしてあります。
この本はそれらの部類には決して属さず、ベストセラーにはならないが、いつまでもその情景や内容が読んだ人の心から消え去ることのない本といえます。そして時間が経てば経つほど、一つ一つのシーンが深く心に刻まれるような、そんな力を持っているように思えます。

私が好きなのは後者のタイプです。


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赴宴者
严歌苓 著
285ページ
18万7000字

難易度:★★★☆☆
面白度:★★★☆☆
病みつき度:★★☆☆☆
後に残る度:★★★★★
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赴宴者の読書記録:2010/8中旬-9/18




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